Capt. Takuya Shimodaira, JMSDF, Offers Japanese-Language Summary & Analysis of CMSI’s Research on China’s Maritime Militia—“中国第3の海上兵力: 海上民兵”
下平 拓哉 [Capt. Takuya Shimodaira, JMSDF], “中国第3の海上兵力: 海上民兵” [China’s Third Sea Force: The Maritime Militia], 海上自衛隊幹部学校 [Japan Maritime Self-Defense Force Maritime Staff College], 8 August 2016.
これからの中国の海洋におけるパワーを判断するためには、中国海軍、第2の海軍と言われる中国海警局(China Coast Guard)、そして海上民兵(Maritime Militia)の3つの研究が欠かせません。 米海大中国海事研究所(CMSI)における海上民兵研究のスペシャリストは、アンドリュー・エリクソン(Andrew S. Erickson)教授とコナー・ケネディ(Conor M. Kennedy)研究助手でしょう。特にケネディ氏は、この新しい研究分野におけるパイオニア的存在であり、CMSIでは親しみを込めて「ミスター海上民兵」と呼ばれているほど、緻密な分析研究を続けています。
中国の海上民兵は、近年急速に活動を活発化しています。特に、東シナ海や南シナ海において中国の権利を主張するための情報収集や建築資材の運搬等、幅広い任務を果たすようになってきています。また、中国海軍艦艇への燃料や弾薬等の補給や、機雷や対空ミサイルを使ったゲリラ戦の訓練も実施されています。
エリクソン教授によれば、海上民兵に係る最近の特徴は、次のとおりです。 第1に、中国の主張を強硬に推し進めるために、単一ではなく、中国海軍、中国海警局、海上民兵の3つが協同する。
第2に、中国は、世界第2の中国海軍、世界第1の中国海警局、そして世界第1の海上民兵を有しており、海上民兵は非正規戦の最前線に立つ。
第3に、海上民兵は、平時に相手に圧力をかける上で非常に有効である。
今後、中国の海上民兵は、米国等による「航行の自由作戦」に挑戦するために、より高圧的な行動に出ることが予想され、また米国や同盟国の交戦規定(ROE)の隙をつく活動を活発化する等、ますます厄介なアクターとなってくるでしょう。多数の船団からなる海上民兵の船舶は、中国の衛星測位システム北斗で位置情報を入手していると言われていますが、部隊としての通信ネットワークについてはまだまだ問題があるようです。
(2016年7月23日記)
【エリクソン教授推薦の海上民兵に関する論文】
1) Andrew S. Erickson and Conor M. Kennedy, “China’s Maritime Militia: What It Is and […]